田山幸憲さん(『ベスト・オブ・パチプロ日記下』より)編集者で作家、そしてサックスプレイヤー、複数の顔を持つ末井昭さんが、72歳の今、コロナ禍中で「死」について考える連載「100歳まで生きてどうするんですか?」。母、義母、父の死にざまを追った「母親は30歳、父親は71歳でろくでもない死に方をした」が話題になりました。第6回は、懇意にしていたパチプロ・田山幸憲さんの生と死についてです。
【写真】死後も仲間に慕われ続ける田山さん
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◆パチンコ台が「もうすぐ出るよ」と話しかけてくる
1988年3月、白夜書房で、ぼくが編集していた『写真時代』という雑誌が発禁になり、多くの人に迷惑をかけてしまいました。ライフワークのようなつもりで編集していた雑誌だったので、次に何をやったらいいのかわからなくなりました。それに、前年の10月に商品先物取引で大損したこともあってウツ状態になり、人と会うのが辛くなっていました。
そんな時、たまたま打ったパチンコで少し勝ったのが発端となり、毎日のようにパチンコに通うようになります。朝10時からパチンコを打ち、1時か2時にやめて会社に行っていたのですが、会社に行こうとすると、パチンコ台が「もうすぐ出るよ」と話しかけて来たりするので、その台から離れられなくなることもありました。パチンコ依存症の一歩手前まで来ていたのです。
パチンコに夢中になり過ぎて、気が付いたら夕方になっていることもありました。そのまま家に帰る訳にもいかず、とぼとぼ歩いて会社に向かっている時の侘しい気持ちが、のちに爆発的ヒットとなる、『パチンコ必勝ガイド』という雑誌を作らせたのだろうと思います。◆東大中退のパチプロ・田山幸憲さんとの出会い
パチンコ雑誌を作ろうと思ったのですが、パチンコがやめられなくなっただけで、パチンコに関して何も知らないし、パチンコに詳しい人も知りません。
とりあえずパチンコに関係ある人を紹介してもらおうと、友人や知り合いの編集者に電話していたら、ある編集者が田山幸憲(ゆきのり)さんの連絡先を教えてくれました。田山さんは、東大中退のパチプロとして週刊誌に紹介されたこともある人でした。
1988年9月某日、田山さんに電話して取材のお願いをしたら、池袋の山楽会館でパチンコをしてるから、その裏にあるネスパという喫茶店に来てくれと言われました。
パチンコ依存症のようになり、のちにギャンブル依存症になっていく自分が言うのもなんですが、ほんの少し前までは、パチンコや麻雀をやる人間が大嫌いでした。特に昼間からパチンコをやっている連中を人間のクズみたいに思っていて、パチンコ店の前を通るたびに「お前ら、働け」と呟いていました。だから、パチプロなんて働くのが嫌いなヤクザまがいの連中で、そのくせ我が強く、自慢話ばかり聞かされるのではないかと思っていたのでした。
約束の時間にネスパに行くと、一番奥の席でやや長髪でほっそりした顔の学生みたいな人が、うつむき加減で煙草を吸っていました。それが田山幸憲さんでした。前へ1234次へ1/5ページ

みんなの感想

  1. 末井さんの文章、優しいお人柄が出ていて、悲しい中にもじんわりきました

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  2. 打たん人から見ればパチンコ打ちは皆外道なんだろうけど、その世界では”正統派”だったのが田山氏だった。「縦の比較」だったかな…田山用語。(縦とは、横の台との釘の比較ではなく、台ごとに前日・前々日の釘と比較すること)

    時給計算・日当計算…まさに生きるための”仕事”だった。
    そしてその仕事を楽しんだ。

    田山幸憲のことを令和になって思い出すとは。

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  3. この人の本持ってた。

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  4. 溝の口の日拓で知り合って一時結構ツルんでたわ
    酒とタバコが好きでねえ
    物静かな男だった

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  5. 田山さん、亡くなられていたのですね。

    浪人時代にパチプロ日記を楽しみにしていました。
    受験勉強をしている身でありながら、「東大中退」の肩書きがむちゃくちゃカッコいいと思ったりもしてました。

    古き良き羽根物時代のパチプロでした。

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  6. >その日の酒を飲んで千円残るのが理想

    うまいこと言うなあ。そんな暮らしは良くないと思いながら、なぜか憧れてしまう。

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  7. 途中までしか読んでないけど、もうすぐ出るよと話し掛けてくるって一歩手前じゃなくて依存症の中でもかなり重篤な方だと思うわ。
    この辺の認知の仕方で読む気失せた。100歳まで生きてどうするの?とか100歳まで生きちゃった人もいるだろうし、そんなんわからんじゃん。
    少なくとも70でも80でも余命宣告を受けてる人の前で100歳まで生きてどうするんです?もういいでしょう?とは言えないっしょ。

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  8. お母様がダイナマイトの人じゃん。

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  9. 雑民党のスポンサーでしたっけ。

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  10. ギャンブルにのめり込むのはなぜかと言うと、
    依存とか何とかでは無く精神病の一種と解釈されるそうです。
    故に理由など無しでのめり込んでしまうのです。
    〇〇に付ける薬は無い、と理解すればよい。

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